金沢市のあらまし
金沢という地名は、現在の市郊外にあたる場所で、芋を洗っていた人が砂金を発見したという言い伝えから来ています。現在でも伝統工芸品として金箔が有名ですから、まさにふさわしい名称だともいえますね。その伝統工芸に代表されるような物づくりが盛んになるのは江戸時代になってからだと言われています。藩主をつとめる前田家の意向によって文化的な活動が奨励されたのです。その結果として北陸の小京都などとも呼ばれることがありますが、武家がつくった文化的な街並みと風俗が金沢の魅力だといえるのです。
東側に山があり、そこから流れる河川が日本海に注ぎます。市内には犀川と浅野川という2本の川が流れていますが、どちらも市民にとってはとても親しみのあるものです。平野部ではゆっくりと流れる川岸に遊歩道なども整備されていて、四季おりおりの風景を楽しみながら散策する人が多いです。中心市街地があるのは金沢城跡を中心とした一帯で、城下町がそのまま今の県都として整備されました。
以前は県庁や金沢大学も市の中心地にありましたが、県庁は海側の地域に、大学は山あいの地域にそれぞれ移転をしています。同様に住宅地もしだいに郊外に移っていき、市街地はしだいに広がっています。主な観光スポットは市街地に残されているので、バスを利用すると便利に移動できます。ただ、バス路線が少し複雑になっていて、県外から来た人にとっては若干わかりづらいという評判も聞きます。2015年の新完成開業を機に観光客の増加が期待されるので、公共交通の整備が県や市の課題にもなっています。
金沢が誇る伝統工芸品の数々
金沢市民が自慢としているものを挙げるならば、一番に伝統工芸がくるでしょう。武家社会のなかで武家文化が中心となり、市民の間に親しまれるようになった物づくりの美しさがそこにあります。
加賀友禅は高度な染めの技法が結集されています。五彩といわれる美しい色使いが特徴で、花鳥風月をあしらった日本的なデザインは外国からわざわざ買いに来る人もいるほどです。インテリアとしての活用も進められていて、身近に感じられる工芸品としてもファンを増やしているようです。
見事な技法で極上の品質を誇るのが、ミクロの世界で技術が磨かれた金箔の工芸です。藩祖である前田利家が七尾城を拠点としていたころから始まったとされていて、いまでも他に類をみない工業製品として評価されています。全国で使われる金箔のほとんどが金沢で生産されていて、有力な地場産業としても大切なものです。
加賀繍(ぬい)は刺繍の一種で、他の工芸品と比べると少しその知名度は落ちるようです。しかし、金糸や銀糸を使った見事な技法で描かれた図柄は、着物や帯をはじめとした服飾品に利用されて、伝統的な和の文化を今の世に残しています。こちらもちょっとした雑貨類にも活用するなどして、現代的な活用方法が模索されています。
B級グルメもなかなかのもの、金沢市民の愛する味
伝統と文化の街として知られる金沢ですが、いかにも現代っぽいB級グルメも人気です。その代表格が金沢カレーで、こちらは海外にまで進出しているお店もあるくらいに有名です。濃厚なルーがライスを覆うように盛りつけられて、千切りキャベツを添えるというのが金沢流。市民だけでなく周辺に暮らす県民にとってもソウルフードと呼べる食べ物です。
ゴーゴー・カレー
キッチン・ユキ
カレーのチャンピオン
ターバン・カレー
インディアン・カレー
気軽に楽しめる洋食として親しまれているのがハントンライスです。見た目も内容も完全に洋食ですが、いわゆる日本で発展した洋食文化の最たるものともいえるのではないでしょうか。ケチャップで味付けをしたバターライスの上にトロトロの半熟玉子が乗っています。それだけだとちょっとオシャレなオムライスなのですが、金沢ではそこに魚介のフライとタルタルソースがトッピングされます。フライは白身魚だったりエビだったりしますが、いずれも大人から子どもまで楽しめる味になっています。
市民が愛するソウルフードといえば、第七ギョーザの「ホワイト」です。独特の丸っこい形をした大きめの餃子で、お皿に盛られている様子を見るかぎりは、初見では餃子と分からないかもしれません。市民にとってはあたりまえになっているご馳走なのですが、他の石川県民にはあまり馴染みがありません。それでも我らの味としてずっと親しまれているのがこちらのお店で、ちょっとしたお祝いの席などに活用されることもあります。