小松市は勧進帳の里、お旅まつりでは子ども歌舞伎が人気
石川県南部にある小松市には、歌舞伎の演目で有名な「勧進帳」の舞台となった場所があります。それは、市の北西にある海岸そばの「安宅の関」というところです。すぐそばには梯川(かけはしがわ)の河口があり、安宅住吉神社という地元民に愛される神社があります。そのすぐそばが昔に関所があった場所で、ここで源義経一行のドラマが展開されたのです。
家来である武蔵坊弁慶と義経の物語は歌舞伎の演目となって現代にまで伝えられていますが、特に小松市では子供たちの文化教育の一環として活用されています。市内中心部にある小学校では歌舞伎を練習する場所や時間が設けられていて、本物の歌舞伎役者の指導を受けたりすることもあります。また、市で一番のイベントである5月の「お旅まつり」では、豪華な曳山を舞台とした子供歌舞伎の上演があります。愛らしい子供役者たちの名演技には、地元の人達だけでなく観光客などからも大きな喝采が届けられます。
歌舞伎を街の文化の中心に据えようという試みは官民一体となって行われています。なかでも忙しくその一翼を担っているのが、公認キャラクターの「カブッキー」です。勧進帳の武蔵坊弁慶の姿をモチーフにしたゆるキャラですが、観光のPR全般にわたって大活躍をみせています。全国ゆるキャラグランプリでも好成績をおさめていて、歳を重ねるごとに浸透度も高まっています。
お旅まつりは豪華な曳山八基曳揃えが圧巻
小松市で一番に大きなイベントは市の中心街を広くつかって開催される「お旅まつり」です。小松城を隠居所としていた前田利常が城下町を築き上げたころに、莵橋神社と本折日吉神社の祭事が行われていたのが由来です。その後に京都の祇園祭などをお手本として、豪華な曳山と子供歌舞伎が導入されたといわれています。
曳山は城下町市街地の各町内ごとに造られたのですが、現在ではそのうちの8基が残されています。祭り期間中に何度か演じられる子供たちの歌舞伎は、その年の当番町の曳山が舞台になっています。また、歌舞伎の舞台となるのは当番町の曳山だけですが、他の町内でも祭事の期間中は道路を封鎖して曳山が公開されます。市内をmぐるスタンプラリーに参加しながら、それぞれの曳山の豪華さを楽しむのもいいのではないでしょうか。
そして、お旅まつりのクライマックスといえば8基の曳山がズラーっとならぶ「曳山八基曳揃え」です。特に夕方以降の時間帯で曳山が一堂に会する様子は圧巻で、大きな交差点を封鎖して行われるイベントは祭り気分を最高潮に導いてくれます。市民にとって大切な、そして観光客にとっても魅力のある大きなイベントになっています。
小松の食べ物は米や大麦、B級グルメではトマトカレーも人気
全国的に有名になるほどではありませんが、小松市には美味しい食べ物があって地域おこしに活用しようといろいろな取り組みがなされています。農産物では北陸らしく米づくりがとても盛んで、特に山ぎわの地域で栽培されるコシヒカリは、独自のブランドをもって販売されているほです。白山連峰から流れてくるキレイな水が農業のウリで、知識や気候的な環境も相まって良質の米が栽培されているのです。
また、米のほかには大麦の産地として業界ではよく知られています。ただ、昔はこの大麦を単に原料として他の地域に出荷していました。近年になって地元の農産物として活かしていこうと考えられるようになり、有名パティシエである辻口氏が監修した大麦のバウムクーヘンなども作られています。大麦は体によい食材としても知られているので、健康志向の高まりと同じように小松産の大麦が広く知られるようにと関係者が努力しています。
その他にもトマトが県内で一番の出荷高になっていて、小松基地の自衛隊給食でそれを生かしたトマトカレーが開発されました。小松市のトマトカレーは野菜の味が濃厚でヘルシーな美味しさが漫喫できます。レトルトに商品化もされているので、いちど召し上がってみてはいかがでしょうか。