南北の物流拠点として発展をした敦賀市
敦賀は若狭湾に面した福井県の街で、滋賀県にも面していて琵琶湖が近いです。そのため古くから北陸道の入り口として利用され、国内・国外の両方に向けての交易が盛んに行われました。北陸新幹線の停車駅としても予定されているJR敦賀駅は、北陸から湖西と湖東にわかれるときの分岐点になっています。残念ながら、交通の要所として「通過するだけ」という人が多いのも事実です。立ち寄る人の数のわりには知名度が高いというのが皮肉です。
しかし、交易の拠点として栄えた歴史は敦賀市民にとっては誇るべきもので、江戸時代には北前船の寄港地として多くの人や物の往来がありました。北前船が盛んなころは海路と陸路の接続点として機能していました。京都や大阪方面へは陸路を使い、北海道などの北方へは海路を使って荷物を運びます。北海道から関西方面に運ばれる食材には昆布が多くあって、それを加工した「おぼろ昆布」は敦賀市の特産品になっています。物流拠点として地の利を生かした発展をとげてきた敦賀市ですが、行き交う物品をただ流通させるだけではなく、加工して商売にするということにはたくましさが感じられます。
港が活用されたのは海外向けにも同様であって、これも古くから大陸との往来がありました。現在でも朝鮮半島などに近いという事情を生かして、海外との交易拠点といて発展していこうという取り組みがなされています。
若狭湾の海の幸にも恵まれた敦賀市
日本海の一部である若狭湾は、そこで穫れる豊富な海の幸でも知られています。敦賀港はこの海に面した港ですから、もちろん海産物の水揚げも少なくありません。一年間を通して比較的長く漁獲があるイカやサバをはじめとして、春から夏にかけてはサヨリが、夏から秋にかけてはアマダイが穫れます。また、冬になれば越前ガニが地元民にも観光客にも待望の味として親しまれます。
これらの海の幸を満喫できる場所として人気があるのが日本海さかな街という海鮮市場です。ここは敦賀市街地の南にある大きな施設で、十分な駐車場が設けられいているので週末には観光用の大型バスが何台も並んでいます。おみやげや贈答にも利用できる海の幸の販売のほかに、いくつもある飲食店でおいしい海の幸メニューが楽しめます。珍味や銘菓などを販売するお店もあるので、観光客にとってはここにさえ来れば北陸からのおみやげ購入には十分なのかもしれません。