合併前の武生市は菊人形のイベントで知られる
菊人形の里として知られる旧武生市は、今立町との合併によって現在は越前市となっています。福井県域のちょうど真ん中あたりにある街で、石川などの北陸地方との交流はもちろん、滋賀や京都などの関西方面との交流も歴史や文化を通じて行われてきました。
武生の街に暮らす人たちにとって何よりも自慢といえるのが日本三大に数えられている菊人形のイベントです。60回を超える恒例の行事であり、武生中央公園を会場として華やかな人形たちが来場する人の目を楽しませてくれます。大河ドラマの主人公を表現したものや歴史上の人物をあしらったものなどが人気ですが、近年では大きなクマのトピアリー(樹木などを刈りこんでつくられる造形物)なども登場しています。少しずつ時代にあった変化をしながら長く続いているのはすごいですね。
菊人形の会場内には愛好家の人たちが育てた菊花展も開催されています。どちらかといえば恒例の方たちの趣味である菊栽培ですが、キレイに咲き誇る花がズラッと並べられた風景は圧巻で、若い人たちにもアピールする力強さを持っています。
毎年の10月が菊人形の季節ですから、秋の旅行に北陸を考えている人は、武生の街も検討してみてください。
平安時代にタイムスリップ!紫式部公園で憩う
全国的にはあまり知られていませんが、かの偉大な女流文学者である紫式部は今の越前市武生で1年あまりを過ごしたことがあります。それにちなんで越前市では、紫式部公園を整備しています。この公園の中には平安時代の寝殿造を再現した建物や池などがあって、昔をしのんでのんびりと散策できる空間が広がっています。見どころは紫式部にあわせてしつらえられた200メートルもある藤棚で、見ごろは5月のゴールデンウィークくらいだと言われます。
この公園には隣接して無料の休憩所「藤浪亭」があります。駐車場も整備されているので自動車で訪れる人にも利用しやすくなっています。数寄屋造の落ち着いた建物で、公園とあわせて四季折々の風景が楽しめる良い場所です。約80席の食事処や売店などがあり、食事のメニューは福井県産のそばをメインとして彩り豊かに季節の食材が楽しめます。平安時代の十二単(じゅうにひとえ)を着て撮影ができる体験コーナーなどもあり、記念日や旅行の思い出に多くの人が活用しています。
周辺に住んでいる人にとっても憩いの場として活用されている優しい空間です。
一流の音に触れる音楽の祭典
旧武生市の時代から幅広い音楽の祭典として開催されているのが武生国際音楽祭です。未来に向けた音楽創造の場として運営されていて、クラシックや伝統音楽、それに現代音楽など多彩な音の芸術が楽しめます。ディレクターとして関わっているスタッフや出演する音楽家はいずれも一流の人たちで、北陸の地方都市としては意外ともいえるような豪華な顔ぶれです。
イベントの中にあるプログラムとして、作曲ワークショップというものも開催されます。これは、プロの作曲家などによるレクチャーを受けながら実際に作曲をし、できた曲はミニコンサートの形で発表もできます。一流の講師や特別ゲストから教えを受けられるほか、期間中には催されるコンサートを鑑賞することもでき、とてもぜいたくな8日間だといえるでしょう。
このイベントはメイン会場となる越前市文化センター以外にも、「まちなかコンサート」と称して市内のいくつかの会場でも演奏会が開かれるので、まさに市をあげた音楽の祭典といってもいいかもしれません。